「えっ?」

違うって…もしかして、親父さんが作ったのか?

そんなことを思った俺に、
「…わたしが作ったの。

両親は共働きだから、ご飯はいつもわたしが作ってるの」

針井は呟くように言うと、箸できんぴらごぼうをつまんだ。

「えっ、マジで?」

俺は弁当箱ときんぴらごぼうを口に入れた針井を見比べた。

「すげーな、針井。

だけど…大変だろ、毎日弁当作って」

ハンバーグを食べながら言った俺に、
「最初の頃は大変だったけど、今はもうすっかりなれたわよ」

針井は答えた。

「1人分でも作るのが大変なのに」

「2人分でもそうたいして変わらないわよ」

言いかけた俺をさえぎるように、針井が言った。