ハリネズミの恋

下駄箱で靴を変えると、俺たちは校舎を出た。

校舎を出ると、当たり前だが人は誰もいなかった。

普段は運動部たちの活気ある練習の様子を見るが、テスト期間中である今は何だか変な感じだ。

「静かね」

針井が呟くように言った。

「静かだな」

俺がそう答えると、針井は驚いたと言うように俺を見た。

そんな俺たちに太が隣で笑いをかみ殺しているのがわかった。

校門につくと、
「じゃあ、俺こっちだから」

太が指差した。

彼が指差したところは、駅とは反対方向の道だ。

「おい…」

お前の家は駅の方だろと言いかけた俺に、
「じゃ」

太は手をあげると、駆け足で俺たちの前を去った。