「さっぱり意味わかんねーんだけど」

俺としては太の身長の方がずっと欲しい。

後はギターの才能…は、いらんな。

演奏してる最中に、鬼にもなりたくなければ悪魔にもなりたくない。

「そりゃ、恋愛においては1回失敗してるかも知れねーけどさ…それも針井へ向かうための踏み台として考えてもいいんじゃねーか?」

ドリアの皿は空っぽになっていた。

「もう1度、恋をして見ろってか?」

空っぽになったハンバーグの皿にナイフとフォークを置いた。

「おっ、針井が好きと認めたと言うことですか?」

太は嬉しそうに言った後、フライドポテトを食べた。

それからメニューに手を伸ばす。

「…まだ食うの?」

そう聞いた俺に、
「デザートをな」

太はフンフンと鼻歌を歌いながらメニューのページをめくっている。