「マジか…」

太は呟くように言うと、俺の机のうえに投げ出していた長い脚を退けた。

俺としては大助かりである。

チャイムよ、ナイスタイミングだ。

「まあ、いいや。

今日帰り時間ある?」

太が聞いてきた。

むむっ、帰りに尋問しようと言う魂胆か。

俺は呆れながら、
「あるよ」

答えた。

「じゃあ、部活終わったら下駄箱でな」

太はそう言うと、前を向いた。

絶対くるんじゃねーぞ、放課後。

俺は心の中で強く願った。