手のひらのうえで太――もとい、悪魔の意のままに踊らされるんじゃないかと思う。

「悪魔か…。

まあ、当たらずも遠からずだな」

太はうんうんと納得したように首を縦に振ってうなずいた。

そらそうだと、俺は心の中でツッコミを入れる。

太の私服と言い、高身長と言い…初対面に、鬼か悪魔に間違われることは確定である。

「で」

「で?」

「七緒ちゃんはずいぶんと針井ちゃんに過保護な訳ですが」

ニヤニヤ笑いながら聞いている太は楽しそうである。

「別に…」

俺は呟くように返すと、悪魔から目をそらした。