先ほどとってきたローストビーフをフォークに刺すと、口に入れた。

「――美味しい…」

こんな美味しいローストビーフ、初めて食べたかも…。

実家にいた頃もエリーさんはよくローストビーフを作ってたけど、今食べたローストビーフの方が美味しいかも知れない。

美味しいローストビーフに舌鼓を打っていたその時、
「はあ…やってらんねーよ、もう」

モスグリーンのワンショルダーのドレスを身にまとった背の高い女の人がやってきた。

ショートカットの黒髪がよく似合っていて、とてもかっこよかった。

「…あれ?」

彼女が私に気づいた。

「あ…えっと…」

「もしかして、フーゴが言っていたゼミの生徒?」

そう聞いてきた彼女に、私は驚いてフォークを落としそうになった。