机のうえに広げていた荷物を全部カバンの中に入れると、
「さようなら!」

彼女は僕に向かって頭を下げると、カバンを持って研究室を飛び出した。

バタンと、ドアの閉まった音が研究室に大きく響いた。

僕はどうすればいいのかわからなかった。

こう言う場合は、彼女の後を追った方がいいのか?

だけど…追いかけてどうするんだ?

追いかけて、何を話せと言うんだ?

「――僕は何がやりたいんだ…」

インスタントコーヒーを並べられた2つのマグカップの隣に置いた。

窓に視線を向ける。

木枯らしが吹いていた。

まるで泣いているみたいだと、僕は思った。