僕も芹沢さんも…一体、何をしたかったのだろうか?

やかんでお湯をわかしている間、棚から僕と芹沢さんのマグカップを出した。

2つをキッチンのテーブルのうえに並べると、インスタントコーヒーを出した。

ガタッと、また椅子が動いた音がした。

視線を向けると、芹沢さんがまた椅子から立ちあがっていた。

「――やっぱり、お手伝いします」

芹沢さんがこちらに向かって歩いてきた。

「あ、でも…」

もうそろそろで終わりですからと言う僕の言葉をさえぎるように、
「――ッ…!?」

芹沢さんの指先が、インスタントコーヒーを持っている僕の手に触れた。

触れたとたん、驚いたと言うように芹沢さんの指が離れた。

「――あっ、いやっ…」

「――えっと…」

僕と芹沢さんは困ったと言うように一緒に目を伏せて、戸惑った。

何がしたいんだ、僕らは。