ブーツを履いているせいで、うまく走ることができない。

「萌さん、あの人…」

風吾さんが走りながら何かを言っている。

やっぱり、疑われてる…。

あんなところを見せられて、疑わないって言う方が間違ってるよね…?

せっかくの、デートだったのに…。

朝から、いや昨日からずっと楽しみにしていたのに…。

「萌さん!」

風吾さんの強く呼ぶ声に、私はやっと走っていた足を止めた。

「萌さん…」

私の顔を見た風吾さんは、驚いたと言うように呟いた。

当たり前だ。

私、泣いてるんだもん…。

見られたくないところを見られて、ショックで泣いているんだから…。