最後は父親と慶太郎くんに説得されて、エリーさんは泣く泣く私の1人暮らしを許してくれた。

夏休みの間に1人で暮らすマンションを探し、部屋が決まったその翌日に引っ越しをした。

学校から1駅のところにある小さなマンションで1人暮らしをしている。

引っ越したその日以来、快適な日々が続いている。

1人で論文や出された課題、趣味の読書に集中することができるし、何よりエリーさんと慶太郎くんに気をつかわなくていい。

しかし…1人暮らしを始めて困ったことが、1つだけあった。

それは、先生のことを考える時間が増えたこと。

8月のあの日、私は先生と一線を越えた。

なれないお酒のせいだと思えたら、どれだけ楽なことなのだろう?

普段飲まないお酒のせいで、自分からキスした。

普段飲まないお酒のせいで、先生に躰を許した。

だけど…私も私で、どうして先生を拒まなかったのだろう?

どうして先生を、受け入れたのだろう?

「――一緒じゃないの…」

誰もいない部屋で、私はボソッと呟いた。