店内に入ると、僕はひれかつ定食、萌さんはみそかつ定食を頼んだ。

「夕飯は風吾さんが食べたいものにあわせますからね」

定食を待っている間、萌さんが言った。

「そうですか…」

そう言った僕に、
「お昼は私が食べたいものにつきあってくれたんです。

そのお礼です」

萌さんは笑った。

「だけど、風吾さんがとんかつ好きだったなんて私知らなかったです」

萌さんは息を吐くと、お冷を口に含んだ。

「おかしいですか?

僕がとんかつ好きだなんて」

そう聞き返した僕に、
「玉ねぎが好きだから、ベジタリアンなのかなって思ってました」

萌さんが言った。