「どこで食べるか、迷っちゃいますね」

キョロキョロと首を動かして飲食店を見ながら、萌さんが言った。

和食に、中華に、イタリアンに、カレーに…うーん、これは迷うなあ。

少ないのも困るが、多いのもこれはこれで困ってしまう。

「わーっ、とんかつ美味しそう」

店の前にあるとんかつのディスプレイを萌さんはじっと見ている。

「ここにしますか?」

そう言った僕に、
「風吾さんはいいんですか?

何か食べたいものとかが…」

言いかけた萌さんに僕は首を横に振ると、
「僕もとんかつが大好物なので」
と、答えた。