窓の外に視線を向けると、
「――わあっ…!」

彼女の言う通り、虹が出ていた。

「私、久しぶりに虹を見ました!」

芹沢さんが両手をあわせ、子供のようにはしゃぎながら言った。

「僕も何年かぶりに見ました。

キレイですね」

僕と芹沢さんは虹を見ていた。

もしかしたら、僕らのことを祝福しているのかなと思った。

悩んで、戸惑って、時には苦しんで…だけど、お互いの気持ちを明かして、通じあい、結ばれた僕と芹沢さん。

そんなことがある訳はないと思うけど、僕には虹が祝福しているように思えた。

芹沢さんと目があった。

僕らはそっと微笑みあうと、唇を重ねた。