慶太郎くんはフッと笑って、
「別に気にしてないからいいよ。

俺とも仲良くなったって言う証拠だろ?」
と、言った。

「そうなんだ…」

「そうだって」

慶太郎くんが私に向かって手を伸ばしてきた。

その伸ばした大きな手に、髪の毛をくしゃくしゃにするようになでられる。

「…って、ちょっと!」

大きな手から逃げるように私はパッと避けた。

「この後出かける用事なんてないんだろ?」

笑いながらそう言っている慶太郎くんに、
「ないと言えばないけど…もう、また髪とかさないといけないじゃないのー」

私は手でボサボサになった髪をとかしながら返した。