自室に駆け込み、荷物を置くと、ホッとした。

「――やっぱり、帰らなきゃよかった…」

後悔が胸の中を襲った。

今年も何か理由をつけて、帰ることを断ればよかった。

僕は息を吐くと、ベッドのうえに腰を下ろした。

コンコンと、ドアがたたかれる音がした。

「はい」

僕がドアに向かって声をかけると、
「風吾、入るぞ」

慎吾兄さんの声がそう言ったのと同時に、ドアが開いた。

「おっ、やっぱり風吾だ。

今年は帰ってきてくれたんだな」

慎吾兄さんは嬉しそうに笑った後、部屋に入ってきた。