あたしが言われたとおりの場所に立つと、蘭は一つの化粧品を手に取った。
それを、そのままカバンにしまった。
これって・・・・・。
あたしは背を向けている方の天井を少しだけ見た。
そこには案の定監視カメラがあって、あたしの影で蘭の手元はカメラから死角になっていた。
蘭がカバンに化粧品を入れたのを確認すると、今度は桃香が化粧品を手に取り、カバンに入れた。
「うーん、欲しいのなかったから帰ろっかー」
蘭は近くの店員に聞こえるように、少し大きめの声で言った。
「うん。それにやっぱ高校生のお小遣いじゃキツいねー。また今度お金貯めてこよう」
蘭に続き、桃香もわざとらしく言った。

