「やぁやぁ」 ニッコリ、笑い片手を上げた俺を見るなり怪訝な顔をする彼女。 「・・・・・また来たんですか」 そういうと、昨日と同じく本棚の整理を始める。 「ねぇ、名前なんて言うの?」 「教えなきゃいけない意味が分かりません」 きっぱりと言い放つ彼女に、思わず苦笑いが零れる。 「まぁまぁ、そうカリカリしないでさ。名前くらい教えてよ。減るもんじゃないんだし」 すると、俺の方をちらりと見た後、 「・・・・・松本結衣(マツモトユイ)」 と静かに答えた。