「珍しいじゃん、遅刻なんて」
席に着く途中、桃香が笑いながら声をかけてきた。
「あー、昨日の夜遅くって」
苦笑いしてそう言うと、そうなんだ、と一言言って再びノートをとり始めた。
・・・・・あんたたちと一緒にいるのに嫌気がさしてサボろうと思ったなんて、口が裂けても言えない。
はっきり言える程の勇気があたしにあればなぁ。
授業の準備をしながらそんなことを思った。
―――――――・・・
「ねぇ、今日化粧品買いにいかない?」
昼休みになると、桃香と蘭があたしのとこへ来てそう言った。
「欲しい化粧品があってさー。早く買いたいの。ね、蘭」
「うん。すっごく欲しい」
二人は意味ありげに顔を見合わせ、笑いながら言った。

