「わっ、ちょ、優斗先輩!!くすぐったいです!!」




あまりのくすぐったさに身を捩ろうとするも、ギュッと抱きつかれているせいで動けない。




「優斗って呼んでくれたら離してあげる」




「よ、呼びます呼びます!!」




そう言うと顔を上げた優斗先輩。




言ってしまったからには、優斗先輩のことを“優斗”って呼ばないといけないわけで。




「・・・・・ゆ、優斗・・・・・さん」




だけどどうしても呼び捨てにだけは出来なかった。




「うーん、さん付け・・・・・ま、いっか。呼びなれるまで気長に待つよ」




行こう。




優斗さんはあたしの手を取り歩き出す。




いつもの見慣れた通学路。




ただ一つ違うことといえば、隣に“彼氏”となった優斗さんが歩いていること。


―通学路 完―