「ちょっと聞いてよ!!この子彼氏できたの!!」
興奮気味の芽衣が薫にそう言うと、薫はちらりとあたしに視線を向けただけで何もいわなかった。
「え、ちょっと、何か言うことないの?」
芽衣がそういうと、
「別に」
と一言呟いた。
そのあと芽衣はなにかブツブツ言って自分の席へと帰っていった。
「薫、あのさ、」
あたしがそう口を開いたとき、ガタッと音を立てて薫は立ち上がると、そのまま教室を出て行ってしまった。
・・・・・昨日のこと、まだ怒ってるのかな。
その後も何度か声をかけようとしたけど、その度に席を立つか机に突っ伏して話を聞こうとはしなかった。
そして、放課後。
終礼が終わるとすぐさま席を立って帰ろうとする薫。
「あ、待って薫!!!」

