「自分がイヤになるよ…情けなくて」


「恋ってそんなもんじゃん?」
へこたれる私を見て笑う咲良。

彼女が恋を語ることなんてあまりないし、そんな苦労してる風に思わなかったけど…

咲良も悩んだりするのかな?かっこ良くて優しい彼氏がいるのに。


「あ、彼氏くんサッカーしてるよ。ほら」

屋上のフェンスから下のグラウンドを覗くと、咲良の彼氏の川瀬君が5人でボールを蹴っていた。


私達の学年のアイドルグループ的存在の彼らは、何しててもかっこいい。


そんな川瀬君はーー



「あ!咲良ー!!」


グラウンドでボールを蹴っていたのに、彼はこちらの存在に気づき手を振ってくる。



普段は普通でかっこいいのに、咲良の前になると急に犬みたいになる。



「まったく…恥ずかしいっつの」


顔を真っ赤にしてフェンスから離れる咲良も素直になれない方で、彼の愛情表現にうまく答えられいようだ。


「いいな。あんなに愛されてて」


「うーん…うん」


それでもやっぱりまんざらでもなさそうで、すごく微笑ましい。