「う.うん。んじゃあ…」


「俺は貴文で良いよ」


いきなり名前で呼び合い…!



「たたた、かふみ、くん…」


「噛みすぎだろ。面白れ~。どした?」



「あのバカッ…カップル消えたよ…」



ふと貴文君は辺りを見回し、急に腹を抱えて笑い出した。


「バカップルか!まさにそうだな!あはは」



ごまかして言い直したのバレバレだったらしい。



「あ、あはは…」




笑ってもかっこいい。


つい見惚れてしまう。



「じゃ、俺達だけで回ろっか」



どきどきしながら、むせかえるほどの人混みの中を必死で彼に着いていく。




「ユキちゃんってさ、好きな人いるんだって?」




たこ焼きの屋台の前に並んでいる間、隆文君はそんなことを聞いてきた。


「なっ…あいつら!何話してんだ…ッ」



電話しても繋がらず、ツーツーと鳴る携帯を折れるんじゃないかってくらい握りしめる。



「そんなに怒らなくっても」



しまった!
うっかり地がでてた。


相変わらず爽やかに笑って流してくれる。



握りしめていた携帯を、パッと巾着に直した。