その夜、ご飯をしっかり食べてお風呂にゆっくり浸かって、何事も無かったかのように振舞った。

いや、実際ほんとに何が進展したわけでも後退したわけでもないのだけれど。


私の心は虚しかった。

「由紀ちゃん。今日は寝るの早いわねえ」


「うん。ちょっと疲れちゃった」


父も母も亡くなってからは、祖母の家で暮らしている。
早いとこ就職して楽させてあげたいけど・・・あと1年は甘えさせてもらうしかない。


おばあちゃんを心配させたくなかったから、自然に作り笑いを浮かべていた。


一人で布団に潜っても眠れるはずも無く、寝よう寝ようとしても逆に孤独で苦しくなった。



涙は出てこないよ。

思いっきり泣けたらすっきりするのにね。


私は・・・想いをちゃんと伝えられなかったから。


はっきり振られるのが怖くて、最後の最後に臆病になって。



「わたしのばか・・・」


ただ、がさついた心に塩を塗りこんだみたいになって、
私の心が自虐的に消極的になってさらにすさんでいく。


私はこんなヘタレじゃなかったはず。
あいつみたいな・・・


・・・あれ?



違う。



私のほうがヘタレだったから。



だからヘタレなあいつに腹が立ったりするんだ。