適当に箒を左右に動かしてみる。5Mほど先できちんとゴミを集めてる槙野を盗み見る。



まじめな奴だな。私と違って。



「あっ…」

体育館の脇に植えてあるツツジに箒が引っかかってしまった。

箒は簡単にとれたけど…



そこから飛び出てきた…


気色悪い生命体。



「うわぁぁあ!」



大きめの茶色い蛾がばさばさと私めがけて飛んできた。


「春田!?」



槙野が気づいてきてくれたけど、状況がつかめない。さっきまで目の前を飛んでいた蛾は、視界から消えていた。



「あれ?どっかいったのかな」



「春田、うしろ」



槙野に言われてバッと振り返ったものの、蛾の姿はない。


「いや…首の後ろ」



…え?



恐る恐る視線を下げる。



「ぎゃぁぁぁあ!ととととってよー!」



睨みをきかせれば犬も逃げる私だけど、キモイ虫類は大っ嫌いだ。



「ごごごめん…おれ、虫ダメなんだよ…」



はあああ!?