するとクロードは私をより一層強く抱き寄せた。

あまりの唐突のことで頭が真っ白になった。

私に気でもあるだろうか。

私をどうするつもりなのか。

私はどうしたらいいのか。

はねのけるべきなのか。

でも、彼に失望されたくない。

「いいか。奴らの組織は怪盗ミモザ率いる悪の組織だ。いざとなったら花束の真ん中にあるものを使って欲しい。君なら許可されているはずさ」

するとクロードは突然立ち上がった。

「お互い、仕事が終わったら、な?」

クロードがそういうと、私は静かに頷いた。

すると彼は静かに笑って素早く消えた。

冷静になると、私も恥ずかしかった。

何乗せられてるんだろう。

それに彼の仕事って、まさか、、、

そんなはずない、彼は悪には徹しないと思う。

私はどこかで彼を信じていた。

私はふとクロードから受け取った花束を見つめた。

そしてその中央部に硬く黒光りするものが入っていた。

途端に火薬の臭いが鼻をついた。

私は驚かなかった。

恐ろしく冷製な自分が怖いくらいだった・・・

私は銃を引き抜き、それを内ポケットの中に仕舞い込んだ。

粉雪の舞い散るこの冬に、ちょっと嬉しいクリスマスプレゼントと、現実との背中合わせ。

私の気持ちはとても複雑だったけれど、本当のところを言えば飛び跳ねるくらいに嬉しかったのも事実かな。