するとクロードは上着を投げ捨てて、Yシャツをめくり、突然手にしていたトランクを開いた。

『君、何をするつもりだ』

私は思わず息を飲んだ。

クロードが手にしているのは注射器だ。

『娘さんには眠ってもらう。貴方は闇医者でもいい。手紙には何でもすると言ったな』

クロードは紫色の液体をステンレスのボールに入れて手を浸した。

『ああ、確かにそういった。君はまさか・・・』

するとクロードのにやりと笑う姿と同時に注射器から黄色い薬が飛び出すのを見た。

『私が術式を行う。オペの最中は貴方が補佐をするんだ』

それからの様子を私はクロードの背中から見る感じで実際の様子は見えなかった。

でも驚いたのは、クロードが普通に術式を行っていたこと。

そして依頼主の男は次第に祈る姿勢から、真剣に術式に取り組む姿勢に変わったこと。

あまり言いたくないけれど、手術したときに血がたくさん飛び散っていたことが挙げられた。

そしてクロードは3時間も術式を行い、終了した。

『12時間以内に目が覚めなかった場合は手術は失敗だ。あとは祈っているがいい』

すると男性は近くにいた召使と目を合わせてこういった。

『ありがとう。こんなことを言うのもなんだが、このことは伏せておいてほしい。そしてこれは謝礼だ』

すると、クロードは上着を着用すると、こういった。

『結構、術式も成功したかはわからないし、そもそも私は医者ではない。但し、成功の暁には娘さんの元気になった写真でも送ってほしい』

するとクロードは素早く駆け出して映像の枠から姿を消してしまった。

私はあまりの衝撃の映像に胸を押さえて深呼吸した。

クロードはいったい何者なのか、私はいつの間にか彼自身に興味を持ち始めていた。

「クロードって何者なんだろう・・・」

そうつぶやいて夜空を見上げていた。

「こんな男だ」

突然、逆さまになったクロードが現れて、私は驚いてつい声を上げてしまった。

すると彼はそっと指をそっと私の口許に置いた。

「覗きはいい趣味じゃないぞ」

そう彼は残して、煙幕をボンと落とした。

私は大きく咳をこんでいる間に彼は姿を消してしまった。

案外いい奴なんだろうけれど、でも・・・