「どうしよう……」



何回もこの言葉を呟きながら、暗い夜道を歩く。



千尋の冗談を真に受けて、その恥辱で月神たちのもとを飛び出したものの、初めて来たこの世界の地図なんて、分かるわけもなくて。



「道に、迷った…」



辺りを見渡す。



月神のもとから、どれだけ離れただろうか。



町中の外れに来てしまったらしく、そばにはもう、木々が迫っている。



最初、むちゃくちゃに走り回ったため、自分がどうやってここに来たのかも分からない。



三日月は、そんな私を馬鹿にして笑っているようにも見えた。



「月神ぃ、千尋ぉ、美春ぅ……」



3人の名前を呼ぶ力ない声は、虚しく夜空へと消えていった。



私は、自分の頬を両手でパチンと軽く叩いた。



「弱音吐いたって何も変わんない!」



そう言い聞かせ、気持ちを切り替える。