そう確信するまでに、時間はかからなかった。
放課後、月神に言われた通り、私はまた、屋上へ行った。
屋上へ続くドアを開くと、すぐに外の風が吹き込んできた。
まだ初夏なこともあって、夕方はやや肌寒い気もする。
「よお」
屋上に入るなり、頭の上から声がした。
「またそこに上がってるの?懲りないねぇ」
私は声の主を確認しないまま、主に向かって言った。
声の主はもう分かっていたから、顔を見る必要がなかったからだ。
間違いなく、月神。
そう、確信が持てていた。
声のしたほうを見ると、彼の黒髪が風で穏やかに揺れていた。
聞こう。
月神の正体を。
「月神。私、月神に聞きたいことが…」
「そんなことより、お前も来いよ、ここ」
「へ?」
私の質問はあっさり無視されてしまった。

