時は流れ、7月。



力のことを知った時の初夏とは違って、太陽がジリジリと肌を照らす。



あれから2ヶ月余り、あやかし界での稽古を積んだ。



そのおかげで今はもう弱い妖化ならひとりで倒すことまで出来るようになった。



そして、気配を感じとる力も使えるようになってきて、妖化などの発見はもちろん、特別な人と普通の人との区別なども気配でわかるようになった。



ただ、この力は私が持つ桜美夜行だけが特化した力らしく、大勢の人の中特別な力を持った人を特定させたりすることができるのは私だけみたいで。



颯達からも何か感じとったらすぐに知らせるように言われている。



「颯、おはよっ」



教室に行く途中、すれ違い様声をかけてみる。



すると、「…ぉはよ」と眠そうな返事が返ってきた。



「ははっ、なにその返事っ」



話したくて、試しに立ち止まってみると、颯も止まってくれた。