「眠れない……」



ムクッと起き上がった。



部屋の外には数人の隊員が見張りをしている。



そんな中、落ち着いて寝られるわけもなくて。



……サクは隣で寝息をたててるけど。



そっと襖を開けて廊下を覗くと、2人の隊員が見張りはそっちのけで話に盛り上がっていた。



今のうちに……。



私は隊員に見つからないよう、忍び足で部屋を出た。



と言っても、出たところで行く先などなく、廊下をぶらつく。



ぼんやりと庭を眺めながら歩いていると、道場が見えてきた。



道場からはかすかにだが、誰かの息の上がった呼吸と、ブン、ブンと力強い素振りの音が聞こえてくる。



誰だろ……こんな時間に。



こっそり入口から道場の中を覗いてみた。



あ………。



そこにいたのは、ものすごく汗をかいた颯だった。



「988……989………」