「私、ここで世話役やってる野々瀬吉乃ね!吉乃でいいから!よろしく!」
よしの、さん…。
「佐野宮琥珀です。こちらこそよろしくお願いしま……」
無礼のないように、挨拶をしようとすると。
「あーもー、敬語なんていいから!ここじゃ私に敬語使うやつなんていないよ!」
「は、はぁ……」
パワフルな吉乃さんの勢いに押し潰されになる。
そんな吉乃さんを前にするのは、“自分はこんなに奥手な性格だったっけ?”と自分の性格に疑問を持つほどだった。
「とりあえず、部屋を決めて。決まったら道着に着替えさせて、第一武道場に連れてきてくれ」
そう言うと、颯は私達に背を向けて歩き出した。
吉乃さんが「あいよー」と軽い返事を背中に返す。
「颯っ!」
無意識に彼の名を呼ぶと、彼は「道場で待ってる」と、背中越しに軽く手を振った。

