お祖母ちゃんが竹刀を差し出した。



私はそれをもちろん拒否。



「もうそろそろ終わるから。晩ごはんは作ってあるから先に食べてていいよ」



「分かった」



そう言って方向転換をし、外に出る。



しかし、出たところで、道場に入ろうと走ってきた剣道会の生徒らしき人とぶつかってしまった。



お互い、「わっ」と声を上げる。



恥ずかしくて顔は見れてないけど、ぶつかった人は私より背が高くて、どうやら高校生らしい。



「悪ぃっ」



「いえ、此方こそ……って、え?」



聞き覚えのある声。



恐る恐る顔を上げて顔を確認する。



「そ、颯!?」



「琥珀?」



お互い目を見開いた。



颯の右耳にある青の耳飾りがキラキラと煌めく。



「何でここに?」



「私のお婆ちゃんがここにいて…。家、道場の隣だから様子見に来てたの。颯は?」



「俺は、ただ単に稽古を付けて貰いに。今から、高校生以上の稽古だから」