「琥珀っ」



教室に戻り自分の席に座ろうとすると、美春が「ねぇねえ」と駆け寄ってきた。



「どうしたの?」



美春に首を傾げて訊く。



「琥珀ってさ、南雲君と付き合ってるの?」



「は!?」



慌てて目の前で手のひらを振り、「ないない!!」と全否定。



すると、美春は「えー?」とつまらなそうに眉を下げた。



「でも、琥珀と南雲君が一緒に屋上に居たって噂が流れてるよ?」



「なっ!?」



思わず身を乗り出す。



なんで!?



2人で行動してたことなんて無いし、大体、屋上には颯も一緒に居た。



なんでそんな話になったのだろう。



「告られたとか?」



「違う!」



冗談で告られたりはしたけど……。



心の中でこっそり呟いた。



幸い、千尋は颯と校庭に出ていて、ここにはいない。



もし、千尋がこの場に居たら……。