千尋は必死に解放を求めるが、月神は手の力を弱めるどころか、更に力を入れた。 月神は千尋の頭を掴んだまま、歩き出す。 ただ、面白いことに、顔が赤いだけだった月神は面積を広げ、耳まで赤くしていて。 「…ふっ」 彼に聞こえないように、こっそり笑う。 そんなに慣れてないんだ。 ちょっと意外だったかも。 「行くぞ、琥珀」 「っ!!」 不意に、月神が私の下の名前を呼んだ。 でも、やっぱり彼の顔は赤くて。 「待って、颯!」 私は少し先にいる颯達に追いつくため、駆け足で階段を降りた。