「げっ!楓麻の姉ちゃん!」



「逃げるぞ!!」





そう言っていじめっ子たちは僕からランドセルをひったくり、逃げ帰っていく。


僕は姉ちゃんのところに駆け寄ると、泣きついた。





「うっ…ねぇちゃんっ…」



「まだ泣いてんの?もう泣くな!そうやってすぐ泣くからいじめられるんでしょ?」



「だって、みんなが言うんだ!僕の家は変だって。パパはいないし。ママはキラキラした服着て夜出かけるでしょ?それが変だって…。」



「そんなこと言うやつなんて無視!じゃあ楓麻は家が変だと思うの?」




「思わないよ!ママがいて、姉ちゃんがいて、僕がいて…。普通の家族だよ!」






僕がそう言うと、姉ちゃんはとびきりの笑顔で言った。






「私もそう思うよ。だから自信持って!いつも笑いなさい。」







…そう笑った彼女の笑顔を、ずっと忘れることは出来ない僕がいる。