夏休みも終わり次は高校でのビックイベント修学旅行
だけど

「えー真海こないの!」
「うん、ごめんね」
「真海がいないとつまんないよ」

行けるには行けるけど
今はお金貯めたいし

「うちも行かないかな~」
「沙耶にはお土産買ってきてもらわないと」

そういえば今日は蓮達遅いな
今日っていうか最近HRギリギリに登校してくる
最近一緒にいる時間が長くなったからいないと
違和感がある

「気になるの?」
「何が?」
「蓮君と直樹君がいないから寂しいんでしょ」
「そんなんじゃないよ」

こうゆう時だけ勘がいいんだから

「おっはー真海、沙耶ちゃん」
「・・・おはよ」
「わー蓮君と直樹君髪切ったんだ」

直樹は前より少し軽めにした感じだけど
蓮はすごく変わった長かった髪が短くなって
なんて言うんだろ2ブロックのショートカットで
隠れてた顔がはっきり見えて
かっこよさが引き立つ

「文句あんのか」
「ううん、全然!逆にかっこいいよ」
「・・・んなはっきり言うな」
「まーみ俺は?」
「直樹もかっこいいよ、似合ってる
 髪の色明るくしたよね?」
「さすが!よく気付いたね」

鐘がなってHRが始まり修学旅行の話になった
「一週間後、修学旅行があるんでそれまで大人しくしてること問題おこすなよ
 あとで詳しい説明があるからよく聞くように」

問題って絶対こっち見て言ってたよね
先生も人が悪いな


「修学旅行かーめんどくせぇな」
「直樹君もいかないの?」
「俺は行くつもりだけど、もしかして真海行かないのか?」
「まぁね、あっ私のこと気にしないでいいからね」
「蓮どうする?」
「さぁな」

本当は行きたいけど
まぁ家でのんびり過ごすのもいいかもな

「ねぇ真海、今日あいてる?」
「うん、買い物?」
「修学旅行の買おっかなぁって思って」
「いいよ一緒に行こう」



「なぁ行ってもいいんだぞ」
「しつこいなー行かないよ、それにもう出発したしね」

あっという間に一週間がたち修学旅行当日なんだけど
純にぃが昨日からずっと「行ってもいいぞ」を連呼してる
真海も直樹も蓮も行ったみたいだし

「高校生って言ったら修学旅行だろ!
 それに行かないなんて後悔するぞ」

なぜか半泣きしながら力説してる

「いいじゃん、純にぃと少しは長く一緒にいれるよ」
「真海、そっそうだよな兄貴と一緒の方がいいよな」

単純だから助かる

「そういえば純にぃ、私って昔何かあった?」
「・・何でそんな事聞くんだ?」
「今学校で友達と小さい頃の話しで盛り上がっててね」
「あぁそうか、特にないんじゃないか
 まぁそこらへんの子よりはかわいかったな」

今純にぃ少しだけ固まった
やっぱり何かあったんだ

「私少し出かけてくるけど純にぃはどうする?」
「そうだな俺は家で寝てるかな」
「わかった、できるだけ早く帰ってくるね」

家をでたもののすることないな
買い物っていっても特に買うものないし
んー、公園で風に当たるかな

「ふぅ…」

風が気持ちいいし緑も多いし落ち着く

「たまには公園もいいな」

ハトも人が少ないから沢山いる
噴水近くにハトが集まっていた
そこに見覚えある姿があった

バサッ近くに寄った瞬間ハトがいっせいに飛び出した

「・・・なんでここにいんだよ」
「それこっちのセリフだよ!」

ハトに囲まれてたのは蓮だった
修学旅行は?朝苦手なのに何してんの?とか聞きたいことが沢山あった

「修学旅行はどうしたの?」
「・・・こいつらに餌やれねぇから」
「わざわざ電車に乗って?」
「あぁ、たまたまここに来て餌やったら近寄ってきたから」
「ふっ、似合わな!」
「うっせーな」

だから最近登校時間が遅かったんだ
それにしてもハトに懐かれるだなんて
変な体質

「お前こそ何してんだ」
「風に当たろうかなって思って」
「そうか・・・少し歩くか」
「え?待ってよ」

私いっつも蓮の背中を追いかけてる
それはそれで悔しい

「なに怒ってんだよ」
「なんでもないよ」
「あそこ寄るか?」

蓮が見てる方向には本屋さんがあった

「本買うの?」
「少し調べたいのあるからな、お前どうする?」
「私も気になる本があるから入ってみる」

少し歩くかって言いながらさっそく本屋さん
蓮って何かずれてるよな
気になる本っていっても発売は来月だから特に入る意味がないけど
外で待つのも嫌だから入ることにした
蓮はグルメ雑誌がある方へ行ってしまった
似合わないなー

「そうだ、ボールペンきれてたんだ」

ついでに買うことにした
文具コーナーに行き私はいつものボールペンを手に取ろうとした時
知ってる顔が近寄ってきた
あの、しつこい男だ

「また会ったね」
「・・なにか?」
「そんな睨むなよ、今は何もしねぇよ」

今はってことは近いうちに仕掛けてくるんだ
何する気なの

「お前何してんだ」
「また後でな」
「おい、あいつ」
「・・・」
「真海?」
「あっえ?蓮何か言った?」
「・・・それ買うんだろ」
「うん、ちょっと待ってて」

あの男の言葉の裏に何かありそうで怖くなった
何が起こるのかさっぱりわからない
取り返しのつかないことが起きそうな感じがした

「なぁ真海」
「どうかした?」
「なんつーか、独りで悩むなよ」
「・・クス」
「お前笑うなよ」
「ごめん、嬉しくてつい」

悩んでる自分がばからしくなってきた
蓮は優しいなほんとに
子供ぽいところもあるし、大人に負けないぐらいのオーラがあるし
掴みどころがない

「蓮ちょっと付き合ってもらっていい?」

聞くしかないんだ、
だけど独りだと不安だから蓮にきてほしい
蓮は「あぁ」って答えてくれた


バスに30分ぐらい揺らされて着いたところ

「どこだここ?」
「私のおばさんの家がある町だよ」
「俺がくる必要あったか?」
「蓮も知ってそうだから」

ピーンポーン
「こんにちは!真海です、おばさんいますか?」
ガチャ
「まーちゃんいらっしゃい、そちらは彼氏さん?」
「いえ、違います」
「あらぁそうなの残念、まーちゃんどうしたの?」
「聞きたいことがあって」
「大切なことなのね、さっあがって」

「それでどうしたの?」

おばさんは冷たいお茶を持ってきてくれた

「今聞くことは純にぃに内緒だよ」
「はいはい」
「・・・私小学生のころ何かあったの?」
「そのこと誰から聞いたの」

おばさんは細い目を見開いて聞いてきた

「変な奴らに絡まれたときに」
「純君が関わってるのね」
「うん、」
「そうね、まーちゃんが小学三年生だったかな8時になっても帰ってこなくて、
 警察に連絡しようとしたら純君が帰ってきてまーちゃんのこと話したら
 『心当たりがある』って出て行って帰ってきたと思ったら、2人とも怪我してて
 純君はもうすごい怪我してたけど『真海に悪いことした』
 『俺がばかやってるから真海に怪我させちまった』って泣いてるのよ
 私が知ってるのはここまでよ」
「つまり私は誘拐されてたんだね」
「えぇ」
「私が純にぃの弱点なんだ」

あいつが言ってることが今理解した
私さえいれば純にぃは手がだせなくて
やられてしまう

「おばさん教えてくれてありがと」
「いいのよ、純君には内緒にしておくわ」
「うん、蓮行こ」

蓮は何も言わずついてきてくれた

「ごめんね、わざわざついてきてもらって」

バスの中蓮に話しかけた

「別に気にしてない」
「蓮には言っておこうかな」

ただ静かなバスの中で私は蓮に全て話した
男たちと話したこと全てを

「怖かった、いつ何があるかわからなくて
 誰も巻き込みたくなくて話せなかった」
「・・・ばかかお前」
「なっ!」

蓮は私を真っ直ぐ見て手を頭にのせたてきた

「少しは頼れ」
「蓮・・・」

「頼れ」という言葉が温かくて優しくて
私の怖いという気持ちがなくなるような気がした

「もし、そいつらが真海に手だしてきたら
 俺が返り討ちにしてやる」
「若葉さんに怒られるよ」
「んなの関係ないな、お前に怪我させたら純さんに
 殴られるからな」
「そうだ、いまから私の家こない?
 夕飯ごちそうするよ」

今日のお礼と、もう少しだけ蓮と一緒にいたいから