夏にはいり2週間がたとうとしていた
沙耶は夏の間だけバイトするって今はバイト中
私はいつも通りカフェでバイト中だけど
お客さんが1人もいないから暇だ

「真海ちゃんオセロやらない?」
「仕事中ですよ」
「いいの!」

たしかにこの時間帯だし、控え室だから大丈夫かな

「いいですよ」
「私オセロ強いんだから」

そういえば最近ちゃんと遊んでないな
沙耶と休みがずれてるから遊んでないし
おばさんの家いったり、買い物したりしてたから
誰かと遊ぶってことは少ないな

「うわー負けた、真海ちゃん強いね」
「てか、全部白じゃん」

いつからいたんだか直樹が話しかけてきた

「うるさいわね」

カランカラン
お店のドアが開く音がした

「あらお客さん、真海ちゃんはもう少し休んでていいわよ」

動こうとした私に声をかけた

「真海俺とやろうぜ」
「うん」

若葉さんは控え室から出て行き、私と直樹はオセロを始めた

「真海つよくねぇか?」
「そうかな、あっ蓮おはよう」

裏口から蓮が出てきた
裏口には若葉さんと蓮が住んでいる家がある

「・・・直樹かわれ」
「おはよぐらい言えよな」

起きて来たと思ったら直樹とかわり私とオセロを始めた

「え?」
「蓮すげーな」

今の今まで白が勝っていたけど黒に逆転されてきた

「真海ちゃん」
「はーい」
「真海ちゃんにお客さんよ」

私にお客さんって誰?んー思い当たらないな

「ちょっと待ってて」

オセロを中断し若葉さんのとこへ向かった

「お客さんって誰で・・何でここにいるの?」
「よっ!」
「何でここにいるの!そのケガどうしたの、仕事は!」
「そんなむきになんなよ」
「どうしたんだ真海、そんな大声だして」

蓮と直樹が控え室から出てきた

「そうだぞ、お店の人に迷惑になるから静かにしろ」
「どの口が言ってるのかな純にぃ」

なんで純にぃがここにいるの、もう最悪

「待った待った!純君どういうこと?真海ちゃんも説明して」

純君という言葉にひっかがるけど考えないようにしよう

「山本純は私の兄です」
「そうゆうことー」
「・・嘘ね」
「あぁ絶対嘘だ」

うーんとやっぱり知り合いなのかな

「若葉も直樹もひどくないか?蓮は信じるよな!」
「俺にふるなよ」

うん、これは確実に知り合いだね
世の中って狭いもんだな

「純にぃ今日の出来事を全部言って」

とりあえず頭の中を整理したい

「あ、えーとまず
 いつものように仕事場に向かったけど少し絡まれちゃって殴られて
 そこを同僚に見られてクビになって・・みたいな」
「そうでしょうね」
「純君、喧嘩からは足を洗ったんじゃなかったの?」
「俺は手だしてねぇよ」

ということは若葉さんたちは純にぃの過去を知ってるんだ

「でも純さんの妹が真海だったとは」
「似てるだろ」
「「「全く」」」

見事に3人ハモった

「おにぃには似たくないし」
「ひど!」
「で純君これからどうするの?」

話を元に戻すように若葉さんが聞いた

「まぁ、仕事さがして住むとこも探さないとな」
「住むとこって私達の家があるでしょ」
「いいのか?」
「そ、そのつもりだったんでしょ!」

素直に嬉しいって言えばいいのに
恥ずかしくて言えない
これが私の精一杯の言葉

「サンキュー真海!!さすが俺の妹」

純にぃは勢いよく抱きしめてきた

「はっ離れてよ!」
「ずりーよ純さん」
「真海に手だしたらただじゃすまねーぞ」
「はは、かなわないなー」
「いい加減離れて!」

そして私は思いっきり純にぃのお腹に肘パンした

「っ!」
「・・・いたそー」
「さすが純さんの妹だな」

あの蓮でもひいてる
まぁ普通ひくよね

「肘パンはねぇよ真海」

純にぃはお腹をさすっていた

「とりあえず真海ちゃん今日はあがりなさい
 純君は明日またここに来て頂戴」

一度落ち着かせるために若葉さんが提案してきた

「すみません」
「悪いな若葉」
「いいの、気にしないで」


「純にぃ若葉さん達と知り合いだったんだね」

家に向かう途中聞いてみた


「あぁ蓮と直樹が中学の時、高校生と喧嘩してんのを見てな
 まー見事にボコボコにされてたけど、あいつら
『必要ない喧嘩はしねぇ』って言ってよ笑えたよ
 そんで2人を助けてやって若葉のとこまで送って
 若葉のやつ『もう喧嘩しないで!』って泣きながら怒ってたよ
 その後何回かあのカフェに通ってるうちに仲良くなってな」

全然しらなかった
なら蓮と直樹にとってあの時の喧嘩は必要だったのかな
でも普通は知らない子だったら助けるかな
私だったら、助けるよね
そうだよ、蓮と直樹も助ける絶対

「優しいもんね」
「もしかして俺に言ってる?」
「え?違うよ」
「かわんねぇな」
「純にぃもね」

また純にぃと暮らせる
私ってまだまだ子供だな
こんな事で嬉しいなんんて



純にぃが家に帰ってきてから4日たち
今日は久しぶりに沙耶と遊ぶことになった
今は学校の近くにある図書館で勉強していて
このあと買い物に行くつもりだ

「じゃあ純さん仕事決まったんだ」
「うん、若葉さんのおかげでね」

若葉さんの知り合いが人手が足りなく困っていて
純にぃはそこで働くって言って
今はそのお店で働いている
兄弟揃って接客業をやるなんて

「それに知り合いだなんてまさに運命だね」
「違うって純にぃと蓮達は喧嘩してたから、結局どっかで会うことになってたんだよ」

純にぃも一時期、喧嘩三昧の日々があった
喧嘩はかなり強かったらしいけど
仕事するって言って喧嘩からは足を洗った

「そろそろ行きますか」
「そうだね」

図書館をでて駅近くにあるショッピングセンターが集まるとこに向かった

プリ撮ったり服見たりした

「うわっもう7時になるよ」
「そろそろ帰ろっか」

まだ外が明るいから6時ぐらいだと思っていた

「そうだね」

駅に向かおうとしたとき3人の男の人に前をふさがれた

「なんですか?」
「君さ山本純の妹だろ」
「・・・」

純にぃが関わってるのか

「君には最近会ってんだよな」

私も関わってる?私が知ってる人

「もしかして忘れた?」

1人の男が私の腕掴んできた

「あ・・・」

この汚い手あの時の男だ、蓮と直樹が助けてくれた時逃げて行った奴らだ

「たまたま山本純と歩いてんのみてな」
「あんた達の事なんて知らない」
「お前が知らなくても俺らは知ってんだよ」
「離して」
「奴の弱点はお前なんだよちょっと付き合ってもらうぞ
 覚えてねぇだろうがお前を助けに来たあいつは
 ボコボコにされたんだってな」
「やめてください」

沙耶の声
泣きそうな声をしていた

「こっちのお嬢ちゃんも付き合ってもらおうかな」
「やっ!」

もう2人が沙耶をかこんでいた

「沙耶に触らないで!」

沙耶に触れることだけはどうしても許せない

「よえーくせに度胸だけは強いんだな」
「はぁ?」

もう我慢の限界
沙耶がいるけどかまわない

「いつ私が弱いって言ったの」

男の手を振りほどきお腹を殴った

「この、女が」
「護身術ぐらいは習ってんのよ」

男は膝をついてしゃべった

「沙耶から離れなさいよ」
「真海」

2人の男の膝裏を蹴って体勢を崩し、沙耶の腕を掴み駅に走った
自分を守るためにいくつか純にぃから教えてもらってたし
何回か実戦もしてたし、知られたくはないけど

「ねぇ沙耶さっきのこと2人だけの秘密ね」
「でも、またあいつら来るよ」
「お願い純にぃに心配かけたくないの」
「じゃあ、せめて蓮君達に」
「沙耶いいの大丈夫だから」

駅にはいり電車が到着した

「ほら電車きたよ私はあっちの電車だから」
「真海気をつけてよ」

「ドアが閉まります」
アナウンスがはいり沙耶は電車に乗り込んだ

「じゃあね」
「真海!うち誰にも言わないから」

出発していく電車に手をふった
沙耶は言わないって言ってるけど多分教えるだろう
でも沙耶だったら大丈夫

さっきの男純にぃがボコボコにされたって言ってた
純にぃが喧嘩してた時期は中1から中2の時
私が小学三年生あたりの時
その時に何かあったのかな

今年の夏はいろんなことがあるな
純にぃの新しい仕事の邪魔したくないし
蓮と直樹と若葉さんにも喧嘩しないって約束があるみたいだし
私だけで解決できる問題じゃないけど誰も巻き込みたくない
あの人たちだって簡単には仕掛けてこないだろうし
大丈夫だよきっと