「やっばい!遅刻しちゃう」

昨日の夜クッキー焼くのに時間がかかったからな
沙耶の分はもちろんのこと、何でか2人分余計に作くっちゃった
会えるはずもないのに


「はぁはぁ…間に合ったぁ」
「おつかれ!珍しいね真海がギリギリだなんて」
「うん…」

やばいがちで疲れた
あー保健室いこうかな

「何でギリギリだったの?」

前の席から沙耶が聞いてきた
ちなみに私の席は窓側の一番後ろ

「クッキー作るのに時間かかっちゃった」
「クッキー?!!」

沙耶の目がいっきに輝いた。まるで犬が尻尾を振ってる時みたいに

「ちゃんとあるよ沙耶の分」
「やったー!ありがと真海」
「俺の分は?」
「「え?」」

今外から声がしたような

「あ!!」

ベランダに立っていたのは昨日の人だった
いたのに全く気付かなかった…

「いやーここで待ってたんだけど天気よくて寝ちゃった」

それだったら気付けないよ

「ほら山本すわ・・!!早瀬お前きてたのか?!」
「お久しぶりでーす」
「黒田はどうした?来てるのか?」
「んーここで寝てるよ♪」
「はー早く教室にはいれ黒田もだ」
「はいはい、ほら蓮起きろ」
「・・・めんどくせ」

やっと昨日のニヤニヤの意味が分かった
まさか同じ学年で同じクラスだったとは

「わたっち俺たちの席どこ?」
「その呼び方やめろ!」

単純だ渡辺先生だからわたっち…変なの
私は心の中で笑った

「空いてるとこに適当に座れ」
「んじゃ俺ここね」

早瀬君という人は私の隣の隣の席、そして黒田君っていう人が
私の隣に座ってそのまま寝た

「真海知り合い!?」

小さな声で沙耶が問いかけてきた

「お昼に話す」

沙耶は了解サインで親指と人差し指で丸を作った
それにしても明るい所で見ると2人ともイケメンだな
直樹君は沙耶よりも明るめの茶髪で少しハーフに近い顔立ちをしてて
蓮君は真っ黒な髪に俳優みたいな顔をしてる
2人とも顔整ってるな



「で!何であの噂の2人となんで知り合いなの!?」

お昼になり沙耶が興奮気味で聞いてきた
今2人は渡辺先生に呼ばれ職員室にいっている

「噂って不良のこと?」
「しらなかったの?」
「うん」

昨日の出来事を沙耶に全て話した

「うわー大変だったね!無事でなによりだよ」
「あの2人のおかげだよ。はいクッキー」
「やった!じゃあさっそくいただきまーす」
「どうぞ」
「俺にもちょうだい♪」
「あ!えーと早瀬君だっけ」
「直樹でいいよ」

この人は心臓に悪い
いきなり声かけられると口から心臓がでてきそうだよ

「名前は?」
「山本真海」
「真海ちゃんか!どうしても蓮が会いたいっていうからさ
 真海ちゃんに会いに来たんだ」
「会いたいとは言ってないだろ」
「意味はあってるよ」
「?」
「・・・返しにきただけだ」

そういってハンカチを投げてきた

「昨日のハンカチ?」
「蓮はそれを届けにきたんだよなっ」
「・・・」
「おーい蓮?」

蓮君は沙耶のことをずっと見ている
沙耶はかなりこわがっている

「あ、あの!なっ何か」
「・・・別に」

沙耶の声にやっと反応した
もしかして見ていたのって沙耶じゃなくてクッキー?まさかね

「あのよければ、これどうぞ」
「わおクッキーじゃん♪」
「口にあうかわかりませんが」
「ん!うまっ!手作り?」
「はい、一様」
「すげーな!蓮食えよ美味いぞ」
「・・・」

そして一枚クッキーを食べた

「どうですか?」
「・・うまい」

今笑った?少し笑った!まさかとは思ったけど

「甘党・・・!!」
「てめぇ!」
「まっ真海!」

心で呟いたはずなのに!なんで声にでるの?!

「あははは!真海ちゃんさいこー!」

恥ずかしいの前に怒らしちゃった!

「確かに蓮はかなりの甘党だけど、堂々と蓮の前で言うなんて」

直樹君はまだ笑っている
それよりも隣からどす黒いオーラを放ってる人をどうにかして欲しい

「もうゆるさねぇ、てめぇ放課後付き合え!」
「えっ?!無理ですよ!バイトありますし」
「ならバイトおわってからだ!」

そのまま蓮君は教室をでていった

「かなり切れてるねあいつ」
「どうしよう直樹君」
「んー多分大丈夫だから!」

曖昧な言葉を残して直樹君も教室から出て行った

「さ、沙耶!どうしよう!」
「頑張って真海!」
「ひどいよぉ」


「はぁ」

見つかる前に逃げようと思ったけど校門で待ち伏せされると
逃げれない。沙耶は日直で遅くなるし

「いやー真海ちゃんのバイト先楽しみだな」
「本当にごめんなさい」
「うるせー」

これで謝ったのは8回目

「本当にごめんなさい」
「黙れ」

9回目、これ以上しゃべらないほうがいいみたい
直樹君は隣で笑ってるし

「この先にあるカフェが私のバイト先です」
「あれ?もしかして真海ちゃんのバイト先って」
「あー真海ちゃん今日は遅かったね」
「若葉さん!」

助かったぁ

「・・・おい」
「あぁ蓮逃げるぞ!」
「え?」
「あれ~どこに行くのかな?蓮!直樹!止まりなさい!」

その言葉にびくって反応し2人は素直に従った

「今日は人いないからゆっくり話せるわね」

優しい声の裏に何かこわいものを感じたのは私だけでしょうか

「「・・・」」

2人はまるで鬼を見たような顔をして黙りこんでいる
怖い顔した黒田君もおびえているような感じだった

「今の今までどこ行ってたの!」
「何でてめぇに教えなきゃいけねんだよ」
「答えなさい」
「あはは、そのあたりを散歩してただけだよ」

散歩って…

「ほぉ2週間も散歩をね」
「あはは」
「どこで寝泊まりしてたんだか」
「そりゃ俺んちで、はは」

直樹君の笑いがかなりかすれている

「喧嘩してないでしょうね蓮」
「してねぇよ!」

完璧嘘ついてる、昨日してたでしょ私の前で

「したでしょ・・!!」
「なっ?!」
「え?真海ちゃん本当?」
「へ?いやその私ををその」
「お前ふざけんな!」
「真海ちゃんそれ禁句だよ」

またやっちゃった!どうしよう

「何がふざけんなよ!やっぱり喧嘩したんじゃない!」
「姉貴には関係ないだろ!」
「あっ姉貴!??」

今蓮君、若葉さんのこと姉貴って呼んだ?

「あれ?しらなかったの?この蓮は私の弟よ」
「うそ!?あっそうじゃなくて若葉さん!」
「どうしたの?」
「黒田君たちが喧嘩したのは私のせいなんです!」
「どういうことかな?」
「実は・・・」


「ふーん、そういう事だったのなら許すわ」
「本当にごめんなさい」
「何で真海ちゃんが謝るのよ気にしないで」
「そうだよ真海ちゃん」
「なぁに気安く近寄ってんの」
「いやぁ友達だし、そこはいいでしょ」

友達…友達かぁ

「嬉しいかも」
「「・・・」」
「あのー真海ちゃん?さっきからね心の声しゃべっちゃってるよ?」
「え!う、嬉しいていうのもでてましたか?!」
「うんおもいっきり」
「うっ忘れてください」

恥ずかしいすごく恥ずかしい…穴があったらすぐに入りたい

「直樹そのクッキーどうしたの?まさか盗んでないでしょうね」
「これは真海ちゃんから貰ったんだよ」
「へーどれどれ」
「あぁ若葉さん」

若葉さんは1枚食べて目を見開いた

「うっそ!これ手作り?すっごく美味しい」
「本当ですか?!嬉しいです」
「この味、蓮の好みねー、ねぇ蓮あんたのもちょうだいよ」
「・・・ねぇよ」
「貰ってないの?」
「いっいえ!ちゃんとあげましたよ」

お昼にしっかりと渡したし目の前できちんと食べたよ

「・・・食った」
「なに?聞こえない」
「全部食ったつってんだよ!」

全部食ったって言った、やっぱり

「甘党・・・」
「真海ちゃん口からでてるよ」
「え!うそ!?」
「俺をバカにしてんのか?」
「そんなつもりはこれっぽっちもありません!!」

私のバカーー何で口からでるのよ!

「この!てめぇまちやがれ!」
「本当にごめんなさーい」
「蓮!真海ちゃんに手出したらゆるさないよ」
「ほめんなしゃい」

黒田君に捕まりほっぺをつねられた
ほっぺが痛い

「蓮」
「あぁ?」
「わかってるわよね」

若葉さんこわい(かなり)



「なんで俺が」

黒田君は若葉さんからの罰で私を送ることになった

「黒田君!ここまでで大丈夫だよ!」
「はぁ?」
「今日はありがとね!そうだまた学校来てね
 沙耶にお菓子作るからそのついでに黒田君たちの分も作るね!」

とにかく迷惑はかけられない
家は目の前だから大丈夫だし

「家まで送る」
「もうここまで来れば大丈夫だから!ありがと」
「・・気をつけろよ」
「!!」

もしかして心配してくれてる?

「く、黒田君には迷惑かけたくないし」
「別に迷惑だと思ってない」
「・・・ほんとですか?」
「めんどくさいだけだ」
「それが迷惑って意味だと思うんですが」
「どうでもいい、じゃあな」

ポンと私の頭に手をおいて行ってしまった
黒田君ってあんなに優しい顔するんだ
黒田君が手を置いたところに触ると私の胸はなんだかポカポカした