「てめぇら何見てんだよ」

1人の男がこっちに気づいた
めんどくさいけど真海に手だされると困るし
蓮はかなりキレてるし、やるしかねぇか

「蓮、まずは場所変えさせてもらおうぜ」
「あぁ」
「なにブツブツ言ってんだよ」

どう見ても交渉に応じる連中じゃねぇな
てことは…

「ちょっと悪いんだけどさーあんたらの隠れ家教えてくんねぇか」
「おい、てめぇなめてんのか」
「こっちのお姫様に手だされるとこまるんだよね」
「!!」

男達はいっせいに構えた
こいつらも単純だねぇ

「教えてくれるんなら手はださないけど」
「だせるもんならだしてみろや!」

男達は殴りかかってきた

「ゆっとくけど手だしてきたのそっちだからな」
「ぐはっ!」
「うわーっ」

ざっと5、6人を動けない程度に殴った
ここまで簡単だというこのは、こいつら下っ端の連中か

「おい、お前」
「は、はい」

1人だけ手をださないで残しておいた
1人ぐらいいないと場所聞けないからな

「上の奴らが、いるんとこ教えてくんないか?」
「お、教えます」
「どうも、蓮行くぞ」
「おせぇんだよ」

さて、どんぐらいの人数がいるかな
まぁ蓮がいるしそこまで多くなきゃ大丈夫だろ


「こ、この、先にある広場です」
「そうかどうもな」

俺の目に映った光景はざっと30人いるかいないかぐらいの人数がいた
蓮は怒りもMAXになってるみたいだし、もう後には引けねぇか
しかし、これはただじゃすまないだろうな
若葉もかなり切れるな

「蓮いけんのか?」
「・・・」

当然だっていう顔をして前に進んで行った
あーどうなってもしらねぇからな

「なんだお前ら?」
「救世主ってとこか」



「・・・と、まぁこんな感じだ」
「そんな感じってねぇ」

若葉さんは呆れて言葉にならないらしい

「まー若葉、直樹だってよくやったと思うぜ。警察をわざわざ呼んでんだからよ」
「え?そうなの」
「ばれた?」

笑いながら誤魔化そうとしている

「だからあの場所まで遠回りして来たんだろ
 おかしいと思ったんだよ、広場は全くの逆方向にあるんだからよ」
「純さんにはばれるとは思ってなかったよ」
「俺だってなー、一様悪だったんだぜ?」

一様って・・・どこが一様よ
自然に笑いがこみあげてくる

「おっ、やっと笑った」

そう言って直樹は微笑みかけてきた
笑いすぎてるのかな、頬に変な感覚がある
私の手に落ちてくる雫…涙

「お、お前な泣くか笑うかどっちかにしろよ」
「うっ・・・」
「いや、やっぱり泣くな!笑え!な?笑えよ真海」
「純さん焦りすぎっすよ」

ほんと、考えてる自分が恥ずかしい
そうだよいつまでも落ち込んでても仕方がないよね
蓮なら大丈夫きっとすぐに目を覚ますよ

「もう泣かないよ」

そう言って私は笑った

「とりあえず蓮に会ってくるね」
「あぁ」

蓮のいる病室に向かった
ガラガラとドアをあけた
病室には蓮が1人いつものように寝ていた

「いつもと変わらないじゃん」

でも返事も返ってこなかった
また泣きそうだけどその涙を飲み込んだ

「・・蓮、私蓮に伝えたいことがあるんだから
 早く目覚ましてよね」

それでも返事は返ってくることはなかった

「今週から冬休みに入るから2人でどこかに出かけよっか?
 もちろん蓮のおごりでね」

だから、だから蓮早く目覚ましてよね

「・・・ごめ、んね・・っ!」

飲み込んでいた涙が溢れ出してきた
なんで私達のためにここまでするの?
ほんと、どこまで優しいのよ

「声、きかせてよ」

蓮が目を覚ますまでずっと傍にいるからね
うざいって思ってるでしょ?
それでもいるからね

いつものように返事を返してくれるまで…