蓮のことが好きってわかったことを今だ誰にも
言えずにいた
沙耶に言おうと思ったけど言うタイミングがわからないし、
こういうことって言うものなのかもわからない

でも、今日こそは沙耶に伝えないと

「よし!」
「おーい真海ちょっと来いよ」

玄関から叫んでる純にぃ
朝早くからでかけてたけどどこ行ってたんだろ?

「おかえり、どうしたの?」
「みろよこれ!」

玄関前にあったのは青の車

「なにこの車?借りたの?」
「ちげーよ中古で買ったんだよ」

聞かなきゃよかった

「あーいや真海金のことなら大丈夫だからその、」
「いいよ、純にぃだって欲しいものはあるんだから」
「悪いな、そういや時間大丈夫なのか?」
「え?・・・あー!!」

この時間だと電車に乗っても間に合わない

「遅刻決定だ・・」
「まだ間に合うぞ!」
「え?」

純にぃは車を指したけど、信じて大丈夫なのかな…でも、遅刻はやばいし
一か八か純にぃに賭けるしかない

「純にぃお願い」
「まかせろ!」

その前に純にぃ運転できるのかな?免許は持ってるけど
バイクにしか乗ってるとこ見たことないんだけど…

「運転なら大丈夫だ結構乗ってんだぞ」
「う、うん」

どこで乗ってたんだか

「て、純にぃ飛ばしすぎ!!」
「そうか?悪い」

笑いながら言ってるけどこっちは心臓がバクバクいってるよ


「よし、間に合ったな」
「そうだねありがと」

もう二度と純にぃの車には乗らない

「帰りは」
「いりません!」
「そうか・・気をつけろよ」

そう言って純にぃはまた車を動かした

「今日こそは沙耶に言わないと」

黙ってるとモヤモヤして気持ち悪くて具合が悪くなりそうだ


「山本ギリギリだぞ」

なんとか遅刻は逃れることができたけど遅いとみんなの目線が気になる

「はーい気をつけます」
「罰として放課後少し残れよ」
「はーいって何でそうなるんですか?!」
「いやーちょうど手伝ってくれそうな人を探してたんだよ
 山本ありがとな」
「真海が残るならうちもうちも残ります!」

沙耶が先生にそう言ったが先生は嫌な顔をした

「まぁいいや、勝手にしろ」

居残りか、バイト間に合うかな?
でもこれはチャンスかもしれない!

「真海」
「どうしたの?」
「あとでゆっくり話そうね」

周りに聞こえない声で話してきた

さすが沙耶だ、こういうことになると勘が鋭いんだよな
でも、話すタイミングができてよかった



放課後資料室によばれた

「これ運んでくれればいいや」
「「はーい」」

社会の教材をパソコン室に運ぶだけのようだ

「じゃあ頼んだぞ」

先生は忙しいのか少し小走りで出て行った

「よし、運ぼっか」
「うん」

運ぶものを持ってパソコン室に向かった
廊下はシーンとしている

「早速話しを聞こうじゃないか」
「うーもうわかってんでしょ」
「真海の口から聞きたいの」

そこは譲ってくれないのか
周りに誰もいないし大丈夫だよね
言うってなると恥ずかしいな

「・・・好き、な人できた、んだけど・・」
「うんうん、それで?」

ニヤニヤしながら私を見てくる沙耶

「・・・蓮、のことが、好き」
「そっかそっか!」
「聞いときながらその反応?!」

こっちは顔から火がでそうなのに

「まだ足りないんだよな、うちがほんとに喜べることわかる?」
「なに?」
「真海に好きな人ができて嬉しいけどそれより嬉しいことがあるんだよ」
「・・・?」

そう話してるうちにパソコン室についた
教材を置き教室に向かった
パソコン室から教室は近いからそこまで時間はかからない

「で、嬉しいことって?」

帰る支度をし沙耶に聞いた

「んーそれは」
「それは?」
「付き合うこと!」
「そっそれは無理!」

私は蓮のこと好きだけど蓮はわからないし…

「そんなのわかんないでしょ!当たって砕けろだよ」
「砕けちゃダメな気がするけど」
「いいから!行ってちゃんと蓮君に気持ち伝えてきなよ」
「いま?」
「もちろん早いほうがいいでしょ」

私から言うのもあまり気が進まない

「大丈夫だよ真海、蓮君ならわかってくれるよ」

その言葉にどんな意味があるのかわからないけど
私も私の気持ちを確かめたいそのことだけが
頭に流れ込んできた
沙耶ありがと、このまま止まっててもモヤモヤしていやだし
行くしかない

「沙耶、私行ってくる!」
「うん、がんばれ」

蓮のいるカフェへまっすぐ走った
こんなに走ったの何年ぶりかな、多分中学の2年以来だ
バレーをやってたけど怪我をしてからは部活に行かなくなった
息があがるけど一分でも早く知りたい私のこと蓮のこと

「若葉さん!!」
「あ、おかえり真海ちゃん」

蓮と直樹の姿が見えない

「あの、蓮達は?」
「一緒じゃないの?2人真海ちゃんのこと迎えに行ったんだけど」
「え?」

すれ違ったのかなでもなんだろこのざわつき…
胸が苦しい

「私いつもと同じ道から来ましたけど2人とは会ってませんよ」
「どこかですれ違ったのかな?」

いやな感じがする

「わ、私探してきます」
「え!?大丈夫よ、あいつらなら」
「でも、」
「もし、喧嘩になってたとしてもひょこっと帰ってくるわよ」

そう、だよね2人とも強いから大丈夫だよね
そのときカランカランとお店のドアが開いた
そこに立ってたのは直樹だったけど

「なっ直樹!!」

でも直樹はボロボロで血がワイシャツについていた
今にも倒れそうだった

「あんたなにしてんの!?蓮はどうしたの!?」
「はは、やらかしちまった、とにかく蓮が動けねぇから手貸してくれねぇか」
「手貸すって言ってもどうやってここまで運ぶのよ?!」

なにが起こってるの、直樹と蓮はなにしたの
体が金縛りにあったかのように動かない
考えようとしても頭が真っ白になる
その時金縛りを解くかのように電話が鳴った

「真海ちゃんでないの?」
「え、あ・・・」

画面に表示されてた名前は純にぃだった

「あー真海?今俺どこにいると思う?」
「・・・」
「あれ?ちょっ、真海なんで泣いてんの?」
「純にぃどこにいるのよ!こんな時に・・・」
「こんな時ってなんだよ?俺店の前に来てんだけど」
「え・・・」

店の前からエンジンの音がきこえてきた

「若葉さん、直樹行きましょう!」
「えぇ、直樹歩ける?」
「大丈夫だよ」

店からでたらそこには純にぃが車の前に立っていた
直樹の姿を見て驚いていた

「直樹どうしたんだ!?」
「話しはあとでいいから、純にぃ早く車だして!」

確かに直樹も心配だけど直樹がこの怪我だということは
動けないでいる蓮は…

「そうゆうことか・・・直樹場所教えろ」
「あぁ」

純にぃはだいたいの状況を読み車に乗った
私は純にぃの隣に直樹と若葉さんは後ろに乗り込んだ

「どこにいるんだ」
「このまま真っ直ぐ進んで」
「わかった、しっかり案内しろよ」

純にぃは車を走らした

「このままずっと真っ直ぐだ」
「そうか、なら少し時間あんな直樹なにがあった」
「・・・」
「俺たちに言えないってことは真海絡みか?」
「え?私・・・?」

直樹は若葉さんから手当てをうけていたが
直樹の顔はさっきよりも暗い顔になった
私の頭に浮かび上がったのはあの男達だった

「もしかしてあの人たち?そうなんだよね直樹・・・」

私のせいで2人とも怪我したんだ

「ちげーよ真海、俺が原因だ。お前もおばさんから話し聞いたんだろ
 真海をだしに使って俺を呼ぼうとしたんだろうよ」
「え・・・?」
「おばさんが真海の様子がおかしいからって心配して
 俺に教えてくれた」

全部ばれてたんだ
おばさんに迷惑かけちゃったな…

「純さんそこ右」
「おう」
「ここらへんでいいよ」

直樹が指示した場所の近くにあったコンビニに車をとめた

「こんなとこでやってたのかよ」
「ちがう、この奥にあった広場みてぇな所だよ
 俺と蓮はこっちにきてタクシーにでも乗っていこうと思ったが 
 若葉たち呼んでこいって蓮が言ったんだよ」
「ばかでしょ!救急車呼びなさいよ!」

若葉さんは直樹に言った

「んなこと言ったってな!蓮は・・・」

直樹が大声で怒鳴り周りの人の目線が集まった
若葉さんも何かに気付いたのか黙り込んでしまった

「とにかく話は後だ蓮のとこに行くぞ」

そういって純にぃは直樹から道を聞き走り出した
直樹と若葉さんはその場に残った

どうかどうか無事でいて、蓮
蓮に話したいことたくさんあるんだから

「いた」
「はぁはぁ、蓮」

そこには血まみれの蓮が倒れてた

「ねぇ、蓮起きてよ!」
「真海落ち着け寝てるだけだ」

寝ててもこの血の量は…

「うっ・・真海、純さん」
「蓮わかるか?」
「すみ、ません、しくじっちまった、はぁ、階段で、足滑らした」

蓮がきた道だと思われる方向には短い階段があった
 
「とにかく病院につれてくぞ」
「うん」

血が出てるところを止血し、ある程度の血を拭き取った
純にぃは蓮をかつぎ軽く走り出した

「すみません、純さん・・」
「気にすんな」

車に着き純にぃは急いで車をだした

「ほんと、あんたばかだね死にたいの?」
「怪我してさらに階段から落ちるなんてな」
「てめぇ、・・殺す」
「あぁ楽しみにしてるさ」

蓮はまた眠った
いつものように眠っていた

「真海ちゃん大丈夫よ、蓮は血の量だけは多いから」

そうだよ蓮なら大丈夫



その後、病院につき蓮は緊急手術を受けた
血を流しすぎ危険な状況らしい

「・・蓮」

蓮なら大丈夫、大丈夫

あれから1時間ぐらいたち手術室から蓮が出てきた
どうやら大丈夫なようだ

「無事終わりましたが」

がって何?何かあったの?

「何か、あったんですか?」
「意識が戻るのに時間がかかるかもしれません
 しばらく様子をみてみましょう」

時間がかかる…
蓮いつ目を覚ますの?なんでこんなことに
直樹からあったことを私たちは聞いた


*直樹の記憶、直樹said*
「ちょっと2人とも真海ちゃん迎えに行きなさいよ」
「あれ?もうそんな時間?」
「冬は暗くなるのが早いんだから」
「行くぞ直樹」

真海のことになると行動が早いな
真海も蓮のこと気になってるみたいだし
沙耶ちゃんもそろそろ動き出しそうだったしな
今日にでもくるか?沙耶ちゃんならやるな
ならこっちも仕掛けるとするか

「なぁ蓮」
「なんだよ」
「真海ってかわいいよな」
「あぁ?」

蓮は鋭い目をさらに鋭くして睨んできた
単純だな、こんな簡単な罠に引っかかるなんて

「俺さ、」
「真海は俺のもんだよ」
「はぁ?」

まさかこいつがこんなこと言うなんてありえねぇ
はっ、そんだけ真海にべたぼれってことか

「そゆうのは照れずに言えよ、こっちが恥ずかしくなるだろ」
「・・・」
「おい蓮?どうしたんだ」

蓮が見ている方向には数人の男達がいた
見るからに怪しい奴らだな

「蓮、知り合いか?」
「ちげーよ、真海と純さんを狙ってる奴らだよ」
「なんでそんな奴らがいるんだよ」

てか、なんでそんなことわかんだよ
どんだけ真美のこと知ってんだよ、いや純さんのことか?