「ただいまー」
「おかえり、おっ蓮も一緒か」
「おじゃまします」
「・・真海なんで蓮がいるんだ?」
「ごちそうするためだけど」
「いや、修学旅行はどうしたんだ?」

まぁそうなるよね
ハトに餌あげるために行かなかったとはいえないし

「めんどくさかったんで」
「お前らしいな」

蓮らしい答えだなぁ

「ところで真海」
「なに?」
「蓮と付き合うなら俺を通せよ!」
「はぁ?何言ってんの、そうゆう関係じゃないよ」
「蓮よく聞けよ」
「話し聞きなさいよ」

純にぃは私を無視して蓮をつれてリビングの方に行ってしまった

「とりあえずご飯作らないと」

蓮のことだから大丈夫だと思うけど
ちょっと心配



「できたよー」

簡単な夏野菜カレーとサラダとシンプルな料理にした

「おーカレーだ」
「おかわり沢山あるからね」
「おう、蓮も沢山食えよ」
「・・・はい」

あれ?もしかして蓮カレー嫌いなのかな
そういえば和食派だったんだ

「いただきまーす」
「・・いただきます」
「うまー」

純にぃは子供のようにはしゃぎながら食べるけど
蓮のほうが…

「あれ?」

さっき食べ始めたばかりなのにもう半分食べ終えてる

「蓮カレー好きなの?」
「悪いかよ」
「ううん全然」

蓮といれば私の知らない蓮がわかる
その新しい蓮が意外で面白い

「おかわりは自分でね」

純にぃは「えー」といいながら蓮の皿をもってキッチンへ行った

「ちょっ純さん盛りすぎですよ」
「まぁまぁ」

迷惑そうに言うけどちゃんと食べてくれる
明日も会えるかな?
私さっきから蓮のことしか考えてないなぁ
『それが好きって気持ち』沙耶の言った言葉が
頭に流れこんできた
そんなわけないよね
これが好きって気持ちなのかな?

「真海」
「ん?どうしたの」
「聞いてないのかよ、皿は俺が洗っとくから
 蓮送ってやれよ」
「あーそうだね」

後片付けは純にぃに頼んで
玄関前まで送ることにした
駅まで送るって言ったら2人に
怒られてしまった

「駅まで送るのに」
「だめだ、帰り危ないだろ」
「・・蓮って優しいとこあるよね」
「なんだよいきなり」
「子供ぽいところもあるし、意外と動物に好かれるし
 ・・・蓮と会ってからいろんなことわかったよ蓮のこと」

我ながら恥ずかしいこと言ったけど
友達の新しいとこいろいろ知れると嬉しいから
つい言葉にだしたくなる

「・・・わかってねぇよ」
「何か言った?」

蓮が何か言ったけどよく聞き取れなかった

「俺もお前のこと知ってる
 ガキで生意気でばかで、でも何かと一生懸命で
 自分のことより周りを守ってる山本真海をな」
「それ、ほめてる?」
「さぁな、・・真海ちょっと来い」

蓮は手招きしている
私は犬か何かですかってツッコミたいけど
やめといた
蓮の傍に寄り顔を見上げた

「何?」
「今日のお礼だ」
「・・・・」
「じゃあな」

体が固まって動けない
おでこに感じた柔らかい感触…キスされた?
蓮にキスされたことに気付いた時
蓮はもう見えなくなっていた
その瞬間顔がいっきに赤くなっていくのが
わかった

「なにが起こったの?」

はてなが飛びかう中キスされたとこに手を当てて
顔を隠しながら自分の部屋へ逃げこんだ

「真海どうしたんだ?」
「なんでもない」

布団にもぐりこんで
自分の気持ちを落ち着かせた
ドキドキしすぎたのかどっと疲れがでてきた


「・・・朝?」

いつの間にか寝てしまっていたんだ
昨日のこと思い出すとまた顔が赤くなる

「真海起きたか?」
「え?」

時計を見ると8時をすぎていた

「いやー!遅刻する!」

昨日若葉さんから午前中バイト頼まれてたのに
寝坊してしまった

「なに騒いでんだ?」
「はっ入らないでよ」

着替えてる途中で純にぃがはいってきて
お腹に蹴りをいれた

「わ、悪い」
「さいてー変態」
「わざとじゃねぇよ」
「わざとだったらコロス」

急いで準備をすました

「バイトか」
「そう、午前中だけ」
「なら俺も行くよ、ちょうど若葉に用事があったしな」

私と純にぃは家を出て駅まで走った

「真海が寝坊するなんて珍しいな」
「ちょっと考えててね」
「蓮のことか?」
「違うよ」

顔が赤くなるのを隠すため純にぃに背を向けた


「おはよーございます」
「あら、おはよ真海ちゃん」
「おっす!若葉」
「真海ちゃんがギリギリなんて珍しいわね」
「ちょっといろいろありまして」
「若葉さーん」
「ごめんね、こんな日に頼んじゃって」
「全然かまいませんよ」
「無視しないでくれよ」

若葉さんに無視し続けられて純にぃはいじけてしまった

「なんで純君がいるのよ」
「なんでって若葉に話があるからだよ」
「お金は貸さないわよ」
「ちげーよ」
「そう、ならいいわ
 真海ちゃん私が戻って来るまで店番よろしくね
 蓮もそろそろ帰ってくると思うから」
「はーい」

純にぃと若葉さんは控え室のほうへ行ったと同時に
店のドアが開き蓮がはいってきた

「おはよ」
「あぁ、なに怒ってんだ?」
「別に」

蓮のばかにしてくるような顔にむかついた

「んな顔してると次は口にすんぞ」
「なっ!?さ、さいてー」
「それはどうも」

蓮はカウンターにはいりコーヒーを作り出した
蓮はいつも私先を歩いてく、かなわないな

「私にもいれてちょうだい」
「お前がここの店員だろうが」
「きにしなーい、きにしなーい」
「むかついた」
「ひたいほ、ひゃなししぇ」
「すっげえばかづら」

楽しそうな蓮の顔を見ると怒りたくても怒れなくなる

「ねぇ昨日、純にぃと何話してたの?」
「・・・真海が中学のときの話」
「もしかして」

嫌な予感がする

「失恋した話」
「純にぃさいてー」

予感が的中した
今日の夕飯梅干しとご飯だけにしてやる

「純さんお前のこと心配してたぞ」

蓮は私の隣に座りコーヒーを差し出した

「あの日から真海は変わったって」
「私が変わった?」
「俺を頼ってくれなくなったってさ」

確かにあの日から純にぃに連絡することがへったけど
そんな事考えてたんだ

「他に何か言ってた?」
「・・あとは秘密」
「えー教えてよ」
「うるせー」

カランカラン

「いらっしゃいませ」

純にぃ他に何言ったんだろ?
それにしても若葉さん遅いな

「ありがとうございました」
「真海ちゃんごめんね」

純にぃと若葉さんが戻ってきた

「んー人こないわね、今日は午前中だけにしようかしら
 うん、そうしよ」
「いいんですか?」
「まぁ大丈夫でしょ」
「蓮俺にもコーヒーいれてくれよ」
「ちょっと営業中なんですけど」
「まぁまぁ若葉も飲めよ」

若葉さんの気まぐれで午前中でお店を閉めた

「純にぃ、蓮に変なこと話さないでよ」
「蓮の奴言いやがったのか」

帰り道純にぃと話していた 

「だってお前が自分の気持ちに気づいたのかって思ったら
 嬉しくてよ蓮には知ってもらいたくてな」
「私の気持ち?」
「はっきりしろよ、俺は蓮だったら許すぞ」
「何言ってんの」
「はは、むきになるなって」

…やっぱりおかしい

「純にぃもしかしてふられた?」
「・・・半分正解だな」
「話し聞いてあげるよ」
「若葉に告ったら、婚約者がいるんだってよ
 つい最近決まったんだとさ
 そしたらあいつ『私も純君のこと好きだったんだよ』
 嬉しいはずが悔しくてな俺がちんたらしてたからよ
 ばかだよな」
「全然ばかじゃないよ」
「だから真海には幸せになってもらいたくてな」
「純にぃ・・」

やっぱり純にぃ若葉さんに告白してたんだ
あの時2人の様子がおかしかったから気になってたんだけど
…私は純にぃの気持ちに答えられるのかな
蓮がそうなの?ほんとに蓮が好きなの?

好きって気持ちを知ろうとすればするほど
モヤモヤしてわからなくなってしまう
私にわかるのかな

高2の修学旅行の日々はあっという間に終わってしまった