根暗さんと総長くん


「確かに、私もそんな陽斗が好きで遊んでるんだしね」



 女の私でもドキリとする艶っぽい声で、誘うように女の子は言った。


 これは、ヤバイかも。


 これ以上ここにいると、とんでもないものを聞いてしまう気がする。


 どうせ裏庭の掃除なんて、チェックされたところで違いはわからないだろうし。


 ここは一刻も早く、この場を立ち去るべきだ。


 そう思って、こっそりと立ち上がろうとしたときだった。




「あっ」




 持っていたホウキが不意に手から離れていった。


 私は慌ててホウキに手を伸ばしたが、時すでに遅く――。


 カンっと軽い音を立てて、ホウキは地面に落ちてしまった。


 おまけに私も陰から出てしまっていて、まずいと顔を上げると、案の定一組のカップルと目が合ってしまった。