「でも、私に以外にも言ってるんでしょ? そういうの」
「あー……バレた?」
私が隠れている壁の向こう側から、そんな会話が聞こえた。
ひとつは甘い女の子の声、もうひとつは軽い男子の声。
「だって、隠す気ないでしょ? 陽斗」
「そりゃな。黙ってコソコソ他の子と遊ぶ野郎なんて最低だろ?」
「黙ってないなら、最低じゃないわけ?」
「そんな男は願い下げだって子が、騙されて泣くようなことにはなんねーじゃん」
そう当たり前のように言ったのを聞いて、女の子は「そっか」と面白そうに笑った。
……つまり、女たらしも公言してれば最低野郎じゃないと。
男の方の意見に納得しかけて、いや浮気はダメでしょと思い直す。
なんて私が思っている中、急に女の子の声が静かなものに変わった。
