根暗さんと総長くん


「どうして私が先生の家に帰らないといけないんですかっ! 仮にも教師が、生徒を家に連れ込むだなんて許されるわけないでしょう!?」



 自分でももっともだと思う言葉を叫ぶと、その人は静かに目を細めた。



「だから、許されるんだって。俺はきみのご両親に、真白ちゃんをよろしくと言われたんだから」



 そう何度も言ってるのに。


 聞き分けのない子どもを見るような目で、その人は私を見下ろした。


 私は高校の入学式に交通事故にあった。


 同時に、同じ車に乗っていた両親も亡くなっていた。


 この人は両親の知り合いで、頼まれたからと言って毎日私に声をかけてくる。


 でも、無理だろう。


 私は両親の墓参りで、初めてこの人と会ったのだから。


 おまけにそのことを知っている親族は、きっと誰もいないのだから。