私は慌てて邪魔にならないよう道を開けようとした。
が、その相手を確認して、道を譲る気が一気に失せた。
「やあ、真白ちゃん」
「……あの、昨日とは帰り道変えたはずなんですけど」
警戒のために一歩退いて、目の前の人を凝視する。
黒いスラックスに真っ白なシャツ。
これ以上ないほどシンプルな服装なのに、それがよく似合ってしまうほどスタイルが良く。
真っ黒な髪と同じ色の切れ長い瞳が特徴的な、綺麗な顔立ちの男の人。
実年齢は二十四歳らしいけど、外見は二十歳ぐらいの大学生にしか見えない。
あと、あまりに連日目にしているせいで、この人がイケメンだという事実を忘れてしまいそうになる。
「そろそろ真白ちゃんが帰り道を変える頃かなと思ってね」
なんて、一見朗らかに笑ってみせるその人。
