私はあなたの腕の中で


羽田空港に着いた私は、思い出のターミナルで待つ。
あの日助けてもらったお兄さん、どうなったかな…?

そう思いながら待っていると、男の人2人がこっちへ向かって歩いてきた。
1人は手を振っているけど…、誰かな。
私の知り合いじゃないんだけど。
「お嬢様っ…」
静かにそう告げた執事は、さっと頭を下げた。
ん?執事は知っているみたい。
「え、誰―」
「…花蓮、かな?」
手を振っていた人と、もう一人の男の人が近づいてきた。
「あ、はい」
「会いたかったよー!!!」
えええ???!!!!
手を振っていた人の突然のハグに、私驚きまくってます…
「あ、あの、どなたですか?」
「お、覚えてないのー???」
いや、そういわれてもね。
ごめんなさい、私あなたの事知らないんです。
「おい、椿。妹さんが驚いてるぞ?」
「お嬢様、この方はこの10年間アメリカに留学されていたお兄様の椿様でございます」
「10年前じゃ、4歳だから覚えてないよな」

私はすっかり忘れていたんだけど、私には3歳上の兄がいたんだよね。
7歳の時にホームステイもかねてアメリカへご留学。
だから再会のしるしにハグをしてきたんです…。

「じゃあお兄様のお隣にいる方は?」
「こいつは7年くらい一緒にいる、山村怜斗だよ」
山村怜斗―。
そういわれた彼は、楓に負けず劣らずといった感じ。
そもそもお兄様もかなりのイケメン、だと思う。
だけど彼もすっごいイケメン。
「あれ、君は…」
何かを思い出そうとしている山村様。
「どうかなさいましたか?山村様。」
「…どっかで見たことがある気がするんだ、君を。」
まじまじと見つめられる。
そんな見つめないで…!
いくら初対面でも、恥ずかしいってば!
「…あのぉ、どこでお会いしましたか?」
「どこかわからないけど、でも君とはあった気がするよ。」
どこで会ったんだろう…。
それとも私に気を使ってくださったのかな?
「まぁ、とにかく怜斗。俺たちは高等部をみなきゃな。」
「お送りさせていただきます」
執事が恭しく礼をする。
「待ってください、お兄様。高等部って?」
「俺たちもこっちに来たら、普通の高校生だろ?だから、花蓮も通ってる学校に行きたいからな。怜斗には、俺が進めた。」
な、ななな…!!!
じゃあ、毎朝正門で山村様に会うの?
て、照れまくる…。
「―どうなさいましたか、お嬢様?早くお車にお乗りください。」
気づけば、もう2人は車の中。
「あ、あ、はいはい!」
え~、どうすればいいの!?

-楓 Side―
花びらの手紙…。
それは、花びらをいくつも押し花にして飾られたかわいい便箋。
花蓮ちゃんならやりそうなことだ。
万年筆できれいに書かれた手紙。
でも、花蓮ちゃんはそんなこと言ってなかった。
それに僕は知ってる。

…あの時、手を引く男の子を見ていた花蓮ちゃんの目が僕のものじゃないってことに。