数日後、何日も見かけない私を心配し、父はこの部屋を訪れたらしい。
そして、黒百合に囲まれて倒れていた私を目にし、声が出せないほど驚いたと言う。
父の知り合いが営んでいる病院に運ばれた私は、数ヶ月間、個室の部屋で入院していた。
その間、一切、あの不気味な現象は起こらなかった。
毎日、私はベッドの上で、白い天井を眺めながら考えていた。
「どうして、こんなことになっているのか」を。
納得できる答えは出なかった。
けれど、入院している間は冷静になれる時間が増えていて、私の中にある光への感情が少しずつ変化しているように感じられた。
そのせいか、体にまとわりついていた臭いは徐々に薄れ、恐ろしい夢を見ることもなく、胸の中を占めていた醜い想いが浄化されたかのような気持ちになる。
退院してからの私は、見失っていた自分を取り戻すことに必死だった。
そして、「彼が口にした花のように、純潔で無垢な女になりたい」と強く思った。
確かに、光を愛す前の私には威厳があったのだろう。
百合のような女だったのかもしれない。

しばらくして、私は父の部屋へ訪れていた。
「……好きにしなさい」