その夜、私は眠る前、自分に言い聞かせるようにして呟いた。
「どうせ、またあの夢を見るのなら、相手はあの女ではなく彼女にしてほしい」と。
夢の中だけでもいいから殺してやりたい、と思った。
「不仲なので、彼女は僕のことに関心がないと思いますけど」
光、あなたは本当に嘘つきな男ね。
「すぐには別れられない」
別れるつもりなど、最初からなかったのでしょう?
体からこんな臭いを放つようになってしまった今、もう私は2度と彼に愛されることはないだろう。
ならば、いっそ彼女共々、彼も殺してしまいたい。
私にそんな力があるのなら、こんな思いをさせた彼を苦しめてやりたい。
……憎くてたまらなかった。
そして、黒百合は私の願いを叶えるかのように、夢に彼女を出した。
愛されている彼女の首を両手で掴み、虫を殺すみたいにして息の根を止めていく私。
必死で彼女を助けようとする光に、私は「あなたを許さない」と告げた。
絶対に許さない。
許してたまるものか。
あなたに与えられた屈辱は、一生、忘れない。
目が覚めたときの私は、側にある花びらを恐がることもなく、どこかすっきりとした気持ちでいた。