「……あ、いえ。大丈夫です」
父の声を聞いた私はうつむいていた顔を上げ、何事もないふりをした。
安心した表情の父は、仕方なく見合いの話を切り上げていく。
そして、パッと明るい顔をして「そういえば」とつぶやいた。
「この間、街で光くんを見かけたよ」
何も知らない父は、テーブルの上に置いてある煙草を手に取り、満面の笑みで報告をしてくる。
「光」という名を聞いて動揺した私は、煙草の先に火をつける父の顔を凝視した。
父は視線をライターに向けていて、私の反応には気づいていない。
安心した私は引きつっている口元を緩め、平然を装った。
「……あぁ、最近は忙しいみたいで、こちらには来ていませんよ」
出来るだけ、光の話題は避けたい。
父に彼との関係が知れることを恐れた私は、適当に返事をし、話を切り替えようと考える。
だが、父は私の返事にうんうんと頷き、こう言った。
「だろうね。可愛らしい女の子と一緒にいたから、今は遊ぶことで忙しいのだろう。あのくらいの年の子は、勉強や習い事よりもそっちの方が楽しいはずだからね」
灰皿のふちに煙草の先を置きながら、小さく笑う父。
指で弾かれ、煙草の先から白い灰がパラパラと落ちていく。
後ろから殴られたかのように、めまいがした。
父の声を聞いた私はうつむいていた顔を上げ、何事もないふりをした。
安心した表情の父は、仕方なく見合いの話を切り上げていく。
そして、パッと明るい顔をして「そういえば」とつぶやいた。
「この間、街で光くんを見かけたよ」
何も知らない父は、テーブルの上に置いてある煙草を手に取り、満面の笑みで報告をしてくる。
「光」という名を聞いて動揺した私は、煙草の先に火をつける父の顔を凝視した。
父は視線をライターに向けていて、私の反応には気づいていない。
安心した私は引きつっている口元を緩め、平然を装った。
「……あぁ、最近は忙しいみたいで、こちらには来ていませんよ」
出来るだけ、光の話題は避けたい。
父に彼との関係が知れることを恐れた私は、適当に返事をし、話を切り替えようと考える。
だが、父は私の返事にうんうんと頷き、こう言った。
「だろうね。可愛らしい女の子と一緒にいたから、今は遊ぶことで忙しいのだろう。あのくらいの年の子は、勉強や習い事よりもそっちの方が楽しいはずだからね」
灰皿のふちに煙草の先を置きながら、小さく笑う父。
指で弾かれ、煙草の先から白い灰がパラパラと落ちていく。
後ろから殴られたかのように、めまいがした。



