私と彼の交際は、人に知られることもなく密かに続いた。
彼の事情も変わることなく、私の不安は募っていくばかり。
変わったことといえば、あまり会話をしなくなったことと、会う日が少なくなってきていることの2つ。
「明日は用事があるから、次に会うのは来週かな」
しばらく会っていなかった彼は、私を抱いた後、素っ気なくそばを離れてそう呟いた。
そのぎこちない口調を気にしながら、私も彼と同じように脱いだ服を身にまとう。
「別に、いつでもいいですよ。私は待つ身ですし、あなたの都合に合わせるわ。彼女さんとのデートもあるのでしょ?」
この前、私は遠まわしに、恋人と別れていない彼を責める様な言い方をしてしまった。
その日から、彼はあまりここを訪れなくなっている。
こんなことを言えば、余計に彼が遠のいてしまうことはわかっていた。
だが、来る日を待ちわびていると思われたくなかった私は、惨めな女にはならないよう、余裕を見せながら返事をする。
すると、案の定、彼は険しい表情で私を見た。
「……そんな嫌味な言い方ばかりするのなら、もうここには来ない」
彼は冷たくそう言い放ち、荷物を持って部屋を出ていく。
パタンと閉められたドア。
帰っていく彼の足音が、段々と小さくなる。
怒った彼を見た私は、慌てて後を追いかけた。